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これは新しい動きだが・・ [地震と原発]

民家の表土除去検討 伊達市が独自に線量低減策
http://www.minpo.jp/view.php?pageId=4147&blockId=9853173&newsMode=article

学校等限定された公的領域内においては自治体による除染の動きはこれまでもあったものの、個人の敷地内においても、というのは全く初めてとなる行政対応のカタチなのではなかろうか。選択制避難といいこれといい、意外と先進的な我が市の対応。しかも道路や公園など行政の管理範囲である公共エリアから除染を始めるのではなくいきなり民家、というのがまたよい。

何故なら人は一日の大半を自分の家(しかも屋内)で過ごすからであり、そこをピンポイントに狙うということは効果的な外部被曝量低減をもたらすだろうからである。そーいう意味では屋外でも雨水管近辺では高線量が出たりして偏在傾向があったりするだろうから、屋内のリビング・茶の間あたりの計測値を判定基準に用いれば良いと思うのだがどうだろう。屋内に直接線源が入り込んでいる可能性も無きにしもあらずだが。

ただ、問題は「高い数値が測定された場合」って具体的にいくらなの?という話。もし3.8μSv/h以上(屋内なら1.52μSv/h)となると、対象世帯はグッと減るような気がする(最寄り小中学校等の処置前校庭上線量あたりが参考になると思うのだが)。もちろん前述したように、雨樋の近くで測るとかすれば高い数値は出るだろうと思うので、計測方法の公平性・適正性というものもまた問われるような気がする。つーかケチケチしないで全世帯やる!ぐらい大風呂敷広げてくれればいいんですけどねぇ。

もう一つ問題。先ほど「屋内で測ったものを基準にしてはどうか?」と言ったのは、庭で測って表土除去して再度庭で測って線量下がったとしても、屋内の線量率に殆ど影響が無かった場合=他の場所に主要な線源が在る場合に、そこまでで対応打ち切られたらそれは勘弁ならないだろう、と思うからなのであり、ここには「庭の土を削るという単なる表面的行動だけに留まらず、そこに住む人に対して実際的な被曝量低減効果が上がるところまで果たしてとことんやってくれるのだろうか?」という懸念があるわけである。

例えば自分の家の場合、強力な線源は裏の畑であると思われる。家の前の庭先だけチョチョイと表土剥離を施したところで屋内環境はあんまり変わらないだろうことが想像され、この場合「下がってないんですけど」と言ったところで「畑は対象外」で済まされてしまうような気がするのである。もし渋々市が裏の畑まで取り組んでくれたとしよう。自分の畑だから「線量低減にゃ代えられぬ」と作っていた野菜を諦めることもできるだろうが、これが他人の田畑だったらどうなるのだろう。「○○さんのお宅の線量低減のためにお宅さんの田畑潰させてください」みたいに、市が間に入ることなんて絶対ありえないだろうし。

だいたい庭で測るとしても、一般的に想像される面積からいって、その線量は学校校庭のど真ん中で測るのと違って多分に周辺環境の影響を受けると思われるのである。だから庭の土を30センチも掘り返したって、道路挟んだ目の前に鬱蒼とした果樹園でもあれば、思ったほど線量は下がらないという可能性は大いにあると思う。ってまさか地表1センチとかで測るつもりなのかなw

とにかくある一定のルールに則り、対象民家の庭の土を剥ぐということだけなら、できると思うのである。が、その措置を施すこと自体の本来の目的である、「外部被曝量を減らす」、これを実現するのはかなり難しいと思うのである。庭だけでは絶対足りない。農用地や山林も除染対象に入れないと。既に作付けしている田畑を一体どうしたらいいのか、自分は皆目見当もつかないのだが。

逃がすこともやりつつ留まるためのこともやるという、市の志は高く買いたいところである。何とか市そのものが避難等によってバラバラに解体することなきように、という強い思いも感じる。でも「除染によって線量を実際的に下げる」というのは非常に高く険しい道であるとも思う。その厳しさを分かったうえで敢えてその実現に挑戦しようというのか、それとも「放射能対策してますよ」というポーズを決めたいだけなのか、我々市民はそこのところを見定めていく必要があると思う。

そしてもし市の方で真剣にやる気があるというのなら、我々は行政の施しをふんぞり返って待つのみではなく、自ら率先して協力していかねばならないと思う。早ければ早い方がよい、梅雨時期も迫っているし、遅くなればなるほど被曝量を重ねていく。例え一部地域だけでも、地域全体として線量低減が達成なされたならば、きっと市内のみならずもっと多くの地域の人々に「福島を元に戻せるかもしれない」という希望をもたらすと思う。そんな成功図を頭に思い描いて、束の間勝利感に浸ってみる・・でも現実路線としては、北部の都市部でそれやって、南部の山間部は避難促進、これがいいでしょうね。

例のあれ、更新しました。数値の高低がロケーションの差によってしか出ないだろうと思っておりましたが、こうして俯瞰してみるとやはり、本地区の東部の方は比較的低汚染のような気がしますね。例えば国道115号線沿いの歩道はだいたい似たような環境(狭い歩道に脇は農地)が続いていますが西の方が高いですし、国道349号線沿いと県道51号線沿いは同じような幅広の歩道が設けられていますが、やはり西側にある県道51号線沿いの方が高い。テレビ塔のある山(御幸山?)陰を走る道路沿いについても、斜面に果樹園が居並ぶロケーションは同じでありながら西部の方が総じて高いです。上小国の奥の方や御幸山の山際を攻めれば更に傾向が見えてくるかもしれないですね。

伊達市立小国小学校周辺線量マップ
http://p.tl/s_le

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コメント 6

gakunonomomo

こんにちは。

なんだかhalさんまたまた忙しくなっちゃいそうですねw

簡易測定器を町内会などに貸し出しって凄いな。それも自宅を測定って...
国、県が勝手に避難だ!待機!だって決められていたものが、目の前に交渉相手が来るんだもん。
まさか、ここまでして聞く耳持たないとか、国の基準じゃ云々じゃ済まされないでしょう。1ミリを目指すんだとしたら...
伊達市の動きが突破口になる事を期待してる人、多いと思うっす。

確かに、ご指摘の通り色々な問題が発生するとは思いますね。
隣地境界の揉め事みたいになっちゃわないかと心配です。
揉めちゃって除染処理出来ないようなら、自動的に除染処理が終わるまで避難なんて約束事も必要かも...
この辺の処理の仕方も、今回の動きの中でモデルケースとして示して欲しいっす。

でも、なんだかんだ、仁志田昇司市長の「市民が安心して生活できるよう、放射線量を下げる対策に万全を期したい」に期待したいな!!
頑張ってくだされ!!
by gakunonomomo (2011-06-07 17:27) 

hal

>>gakunonomomoさま

Twitter経由でこれを行うに当たって市がアドバイザーとして迎える方(田中さん)の福大での講演内容の概略等を拝見させていただいたのですが、その限りでは少なくとも年間20mSv目標という楽なハードル設定では無いような感じがするのです。講演の中で「子供はそれ(年20ミリ)の1/3」とのたまっておりますものですから、仮に第一段階として年間6.7mSvを目指すのだとしますとそれでもかなりの地域が該当となり、そしてそれを達成するにはかなりの除染作業が必要となりそうだと思うのです。

それでもやるのか、やる気があってもできるのかどうか、いろいろ先が見えない気はするのですが、もし本気でそれをやろうというのだとしたら、それこそ世界に範たるモデル地域となりうるとも思うのです。どうやら国のバックアップがあるみたいですし、まさに最初の実験事例として取り組むことになる(取り組まされることになる)ようなのですが、であればこそ惜しみなくヒトとモノとを投入して、やり遂げられたらいいなぁと思うわけなのです。

下手すりゃチェルノでは打ち捨てていった水準の土地(伊達市の一部ですが)でそれをやろうというわけですから、自分もかなりモチベーションは高いですよ!貸し出し測定器が自分のと同種のものだったりすれば自分にも出来ることはあるし、話は早いのですがねぇ。放射線計測を行政が行うのでなく、貸し出して自ら測らせることによって住民の放射線計測リテラシーも向上するとか、いろいろイイコトもありそうな気がします。測る時点から既に住民参加型なわけですから、みんな自然と協力体制をとっていけることになるでしょうし。

ただ、「埋めるのだけはダメ!」と田中氏が言っている中で、小国小では(シートを敷設しているとはいえ)埋めようとしていたりするものですからw、早く全体的な除染・除去の指針を定めて、みんなで同じ方向に進んでいけるようになるとよいような気がします。

ホントにできんのかよ?という半信半疑の気持ちの方がまだまだ強いですが、もしここから再生の大きな第一歩がスタートするようなら、ホントに素晴らしいですよねぇ、よし!自分もこっそり加担して、歴史にちょびっと名を残すぞ!
by hal (2011-06-07 17:56) 

こんにちは

六日に突然お邪魔したものです。
返信遅くなりまして申し訳ありませんでした。
よかったーーーー。
奥様とお嬢様、もうすでに秋田に避難なさっていたのですね!!
すみませんでした。誤解してコメント書いてしまって。
良かったです~。
日本の未来をになう大切な福島の子供達が
一人でも多く無事であるように!!と祈らずにはいられません。
返信ありがとうございました。
by こんにちは (2011-06-08 14:51) 

hal

>>こんにちはさま

いえいえw、ぜひぜひ福島のこどもたちのことを我が子のことのように心配していただけたら幸いです。偉そうに言うのもなんですが、福島の外からは最大限の優しい心遣いをいただけたらなぁと思っているのです。

中にはただ「危ないから」と訴えるだけでは心許ないからなのでありましょう、放射線リスクにかかる悪材料を集めるのにひたすら血道を上げてそれをズラリと並べ立てながら「逃げろ」と脅し気味に説得されるような方がいらっしゃるのですが、案外それってその人が思っているより効果を上げてないよ、というのが福島の中の人たる自分の感想です。

何ら問題なく安全で安心だなんて思っている人はもうほとんどこの福島にも残っていないと思います。「まったく安心で安全ではないなんて分かっている」人たちに必要なのは、それ以外の切り口での語りかけや情報提供であろうと思われます。

ちなみに自分も意外と放射線による健康被害等そのものについては恐くは思ってないのですよ。自分はもっとその前の段階としての「健康被害が出るかもしれない」とずっとクヨクヨ不安していくことを想像した時点でもう耐えられていないのですwチキンかもしれません、かもしれませんがそれゆえに思い切れることもあったりするのです。

よろしければまた覗いたってくださいw放射能との付き合い・戦いはまだまだこれからですので・・
by hal (2011-06-08 16:21) 

こんにちは

こんばんはですね(汗)
返信ありがとうございました。
>中にはただ「危ないから」と訴えるだけでは心許ないからなのでありましょう、放射線リスクにかかる悪材料を集めるのにひたすら血道を上げてそれをズラリと並べ立てながら「逃げろ」と脅し気味に説得されるような方がいらっしゃるのですが、案外それってその人が思っているより効果を上げてないよ、というのが福島の中の人たる自分の感想です。

本当にそうですよね・・・。
色々な事情でこの場に留まらざるを得ない方たちも沢山いらっしゃると思います。
私もつい老婆心から、自分勝手な書き込みをして申し訳ありませんでした。


by こんにちは (2011-06-09 00:28) 

hal

>こんにちわさま

いやいや、こんにちわさまのように心配さを一心に表してくださる方は、私がくさすような方たちとは全く違うと思いますよ。この手の福島在住民のブログを見つけて、ブログ主がまだ避難に迷っているようだったら、是非是非そのおやさしい心を前面に押し出しつつ、かき口説いていただきたいと思います。

なかなかエネルギーが要る事だろうし、「本人の判断なのだから何も言うべきではない」と口出さないことも当然出来る訳ですが、こんな時ですから、老婆心、おせっかい出しまくりましょうw私のような他人に無関心な人間でさえ、何処かの誰かのために何かしたいと思わせる、そんな特異な状況なのですし。

こちらはこちらで内側から蹴飛ばすようにして追い出しにかかりますからwぜひとも連携プレーでいきましょうw
by hal (2011-06-09 01:18) 

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