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自助(自浄)努力の話 [地震と原発]

ラジオ福島HPへの投稿で発見しましたが、今後こうした草の根的な活動が広がっていくのかもしれません。
福島市旧4号の除染活動を行いました
http://www.rfc.co.jp/touko/details.php?id=5731

いいことだと思う。あの武田邦彦教授も大いに奨励していたし・・が、やはり少し気になることもあります。というのも我々素人に出来うる除染というのは放射性物質を完全に消滅させるわけではないし(専門家がやっても同様なのですが)、取り除くというよりは単に存在する場所を変える、移す、寄せるだけといった性質のものであるがゆえ、自分の身辺から移されたそれがどこか別所にしわ寄せをもたらす可能性は否定できないと思うわけなのです。

もし一家に一台線量計のある時代が到来してからこんな活動を行えば、除染作業を実施した地域としなかった地域の住民の間では、線量計の表示する数字を睨みながらの緊張感あふれる対峙というものが起こりうるかもしれません。作業後に非実施地域内の線量が上がりなどすれば、「おい!こっちに放射性物質寄せただけじゃねーか!そっちに戻しやがれ!」みたいな怒号が飛び交うなどして。

あるいは水で洗い流せばそれは側溝路を経由して、いずれは大きな川、果ては海へと通じていくわけですが、これが下流地域にどんな影響をもたらすのかもたらさないのか。福島県北の場合、阿武隈川という一級河川が支流を束ねつつ堂々と流れているわけなのですが、これの下流域には宮城県が位置しています。たかだかいち町内会が道路擦って流しただけではその影響が表面化するということはないとは思うのですが、ある日ある時福島県民が総決起してみな同じことを始めたりしたら、さすがに何かしら目に見える現象が表れてくるかもしれません。

とにかくこのことは放射性物質が広い地域に分散して存在している今だからこそ波風が立たないで済んでいるというところもあると思うのです。これを集約すれば「チリも積もれば何とやら」で高放射線量環境なり高濃度放射性廃棄物などが容易に生み出されて「それをどこに保管するか」とか「それに対してどう対応するか」という問題が立ち上ってくると。ただこれは個人レベルでやろうとも国レベルでやろうとも起きるべくして起きる避けられない問題であるので、個人がそれについて頭を悩ませる必要はとりあえず現状ではないように思います。

自分が気にするのはどちらかというとモラル的な面で、自分の身の周りから放射性物質を除ける=自分の身の周りから放射線リスクを減らす=どこかの別な誰かにその放射線リスクを負わせる、このことを自らの手をもって成すことを自分で許すべきか否かというところなのです。かといってじゃあ我々はこのまま今在るリスクを甘んじて受けねばならないのか?とも思うわけですし、あまつさえ放射性物質管理のセオリーである「封じ込め」までも自主的に行わなければならない責任があるのかとも思うのです。

今回福島県だけにとどまらず、関東地方までもが程度の差はあれども放射能汚染されたわけなのですが、誰もが自分と、せいぜい子供たちの身を守ることに汲々としているのみで、「封じ込め」という論調は少ないように思います。封じ込め論としてあるのはせいぜい「福島県から出すな!」ということばかり(泣)福島が総じて汚染度が高いのは間違いないのですが、北関東なんかは福島県土の半分以上の地域と同水準の汚染度と思えるし、県内か県外で線引きされて県内だけは放射線リスクを忍従することを強いられ、県外では悠々と放射性リスクの移動と拡散をやっていいというのは、しょうじき耐え難いものがあります。ゆえに、自分はいろいろ整理のつかない煩悶を抱えながらも、それでも身辺の除染作業は連休明けから開始しようと考えているのです。

ただし計測器を入手してから放射線量を計測した上で「ほらこんなに高いんだぞ、だから除染が必要なんだ」という正当防衛的言説を盾にしつつ、除染前と除染後の数値経過をも検証しながら作業をするということだけは、やらないことにしました。もし高数値を目にしてからだと、「これを他の誰かに肩代わりさせるかもしれないんだ」という罪悪感から作業を完遂できなくなるような気がして。というわけで、「高いか低いか分からないが、どうやら比較的高汚染されているかもしれないからやってみよう」という、やや責任回避気味なスタンスでことに当たろうと思っております。

ちなみに何をやろうかというと、
①家の外壁及びコンクリート・レンガ等の外構、家の前の道路(市道)について水で洗い流す
②家の周りの雑草を刈り取って、市のゴミ収集に出す
③家の裏の畑等の表土を掬って畑の一角に集積し、後日飛散防止策を講ずる
④家の畑にひまわりの種を撒き、放射性物質の吸収による浄化方法を試してみる(ひまわりはその後刈り取って、やはり市のゴミ収集へ)
このように特にラディカルなことをするわけではなく、現時点で法規制等に抵触しないような形で自分のレベルで出来ることをするつもりです。

前出の武田先生は自分の身の周りを綺麗にしたのちに生まれたゴミ(放射性廃棄物)をどうすべきかという点については、ゴミの排出主に返す、すなわち原発敷地内に集積管理するべきと言っておりますが、そうした社会的仕組みがいまだ構築されていない現状では、個人が行う除染活動というのはせいぜいこの程度までだと思います。行政機関におかれましては、早くしっかりした放射性廃棄物処理の制度等を整備して欲しいものです。

最後に、自分はこうした話を「被災地に萌芽する復興の気運」のような美談的なものとしては捉えて欲しくないのです。むしろ「それをやられると、なんだか自分の身が危うくなりそうなんだけど」というような不穏なものとしてみなしていただきたい。例えば福島県内でどんどん個人レベルの除染活動が頻発・拡大していけば、絶対だれか(端的に言えば隣県の人とか東京都民とかw)が「それってウチラにとって大丈夫なの?」とか「ぶっちゃけ止めて欲しいんだけど」と不安の声を上げだすはずで、そもそも今自分の身の周りにあるこの状況が「安全だ」と言っているのは国なので、(集合して高リスク化するのは別として)自分が抱えている放射線リスクがそっくりそのまま誰かに移ったとしてもそれは国に言わせれば「問題ない」のですが、だからといって肩代わりさせられた人はそれを甘んじて引き受けようとはしないでしょうし、そうしたイザコザが起こることによって、封じ込めに逆行するような個人レベルの除染活動が問題なのではなく、安全安心でないものを「安全安心だ」と定義づける国の今のやりようこそが真なる問題であるということが、沢山の人間の総意として浮上してくるような流れになって欲しいと思うのです。

そうすれば自分の大願たる、適正な防護措置や補償対象範囲の拡大が成ることの一助となっていくはずで、だからこそ自分は除染作業を実行に移してみるわけなのです。ただ一番の理由としては、一時的でもいいから妻子をこの福島に戻すことができるような環境を作りたいということがあり、戻ってきてもらわないと例のアパートから持ち込んだ家財の一切の処し方がどうにも決まらないというものがあるものですから、極めて個人的意義のあることでもあるのでした。
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